「フィッシャーの3原則」とは。例もふまえて理解しよう

フィッシャーのアイキャッチ 統計

はじめに

実験や統計分析において、「結果は本当に信頼できるのか」は非常に重要です。たとえば、新薬が効果的といっても、それがたまたまなのか、本当に再現性のある効果なのかは、実験の設計によるところも大きいです。

このような問題に対して、統計学者フィッシャーは、この分野を体系化し、科学的に信頼できる実験を行うための3つの基本原則を提唱したのが「フィッシャーの3原則」です。

本記事では、各原則の意味を明確にし、例とともに整理して紹介します。

実験やデータ分析の際にはしっかりと分布を確認しながら適切な方法を進めていくことが重要です。これらについて、経験豊富な方とマンツーマンで学習していくのもオススメです。

フィッシャーの3原則とは

フィッシャーの3原則は、以下の3つです。

  • 反復(Replication)
  • 無作為化(Randomization)
  • 局所管理(Local Control)

これらは、実験における誤差(偶然誤差・系統誤差)を最小限に抑え、因果関係の妥当性を高めるための基本です。

まずは、3原則の概要を一覧表にまとめてみましょう。

フィッシャーの3原則:概要比較表

実験の結果には、避けがたい「誤差」がつきものです。これらの誤差は主に2種類に分けられます。

  • 偶然誤差:偶然(たまたま)生じる誤差
  • 系統誤差:系統の違い(条件の違い)による誤差

フィッシャーは、こうした誤差を評価・制御・縮小するために、実験計画上で取り入れるべき基本原則として次の3つを提唱しました。

原則名主な目的内容の要点簡単な例
反復偶然誤差の評価同じ条件で複数回の実験を行い、結果のばらつきを評価・統計的に検証する血圧を毎日3回 × 数日 測定する
無作為化系統誤差を偶然誤差にする被験者や処理の割り当てをランダムにして、バイアスを排除する被験者を無作為に薬・偽薬に割り当てる
局所管理系統誤差を管理・抑制する実験単位を条件でグループ化し、グループ内で比較する日照条件ごとに畑を区分して肥料を比較

各原則の解説と実例

反復(Replication)

目的

実験を繰り返すことで偶然によるばらつきを把握し、結果の信頼性を高めます。

実験を1回だけ行って得られた数値に違いがあったとしても、その差が「本当に要因によるものか」「単なる偶然か」を判断することはできません。
反復によって同じ条件で繰り返し測定することで、ばらつきを観察し、偶然誤差を統計的に評価・縮小することが可能になります。

例:血圧を毎日3回 × 数日 測定する

ある薬の血圧降下作用を確かめたい場合、被験者に薬を服用してもらい、「1日に3回(朝・昼・夜)× 7日間」など複数回測定を行います。
このように繰り返し測定することで、ばらつきを把握できるだけでなく、統計的に「平均して効果があるのか」を検定する根拠にもなります。

無作為化(Randomization)

目的

実験を行う順序や割り当てを無作為(ランダム)にすることで系統誤差を偶然誤差に取り込みます。

人や場所などの条件に偏りがあると、その違いが実験結果に影響を与える「系統誤差」となります。

それらの条件をあらかじめ固定してしまうと、偏った比較になってしまうため、割り当てを無作為に行うことで、その影響をばらつきの中に吸収し、より公平な比較ができるようにします。

例:被験者を無作為に薬・偽薬に割り当てる

医薬品の臨床試験では、被験者を「薬を投与されるグループ」と「偽薬を投与されるグループ」に分けて比較します。このとき、医師の判断や被験者の希望によってグループ分けをすると、年齢や病状の重さなどで偏りが生まれてしまいます。

そこで、くじや乱数、コンピュータプログラムなどで無作為に割り当てることで、バイアスを防ぎ、比較の公正さを確保します。これが無作為化の重要な役割です。

局所管理(Local Control)

目的

実験条件(環境、時間、グループなど)の違いを明示的に制御し、比較の精度を向上します。

実験をさまざまな条件のもとで行う場合、結果はその条件に強く影響される可能性があります。

そこで、影響がありそうな条件ごとに実験対象をグループ化(ブロック化)し、それぞれのグループ内で比較を行うことで、系統誤差をコントロールできます。

例:日照条件ごとに畑を区分して肥料を比較

農業実験で異なる肥料の効果を比較したい場合、畑全体を一様な条件で扱うのは難しいことがあります。たとえば、畑の一部は日当たりが良く、別の一部は日陰になっているかもしれません。

このようなとき、畑を日照条件ごとに区分(ブロック)し、それぞれのブロック内で異なる肥料をランダムに割り当てて育てることで、「日照の影響」と「肥料の影響」を分離して評価することができます。これが局所管理の基本的な考え方です。

まとめ

フィッシャーの3原則は、データに基づいた意思決定を行うための土台ともいえる考え方です。

  • 反復:偶然のばらつきを測り、安定した結果を得る
  • 無作為化:偏りを取り除き、客観的な比較を可能にする
  • 局所管理:条件差の影響を抑え、精度の高い比較を実現する

これらを組み合わせることで、実験の信頼性を大きく高めることができます。

フィッシャーの3原則にオススメの勉強方法

書籍:実験計画法の基本と仕組み

今回のフィッシャーの3原則やそれらをもとに考える実験計画法などを学ぶには下記の書籍がオススメです。多くの例が含まれているため、初学者であっても非常に理解しやすいです。

スクール:現役データサイエンティストに教えてもらう

実験を適切に管理することは適切な評価と対応のためには重要です。ただ、どのようにやるのが正しいのかを理解しながら進めるには適切なメンターなどがいた方が安心です。スクールなどに入り、アドバイスしてもらいながら進めるのも良いでしょう。

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